第六章 けたたましく鳴るインターホンの相手はゆかりだった

5/11
前へ
/87ページ
次へ
「でも、せっかくの休みなら、ゆかりさんと過ごさないと……」 「ああ、そうだな、連絡取ってみるよ」 潤一郎はあやかと過ごしたかった。 でもゆかりとの時間も考慮に入れないと、あやかは遠慮してしまうからだ。 (せっかく潤一郎さんが誘ってくれたのに、なんであんなこと言っちゃったんだろう) あやかは落ち込んでいた。 休みの前日、潤一郎はあやかにこう伝えた。 「ゆかりは友達と出かけるって断られた」 あやかは満面の笑みを浮かべた。 「あやかは俺と一緒に出掛けてくれるだろう」 「はい」 実は潤一郎はゆかりには連絡を取っていない。 この間、潤一郎のマンションへ来たことを考えると、自分の誘いに乗ってくる可能性が高いと考えた。 せっかくの休みはあやかと過ごしたいと考えていた。 潤一郎は白鳥不動産との合併を解除の方向でこの三年間動いていた。 ましてや、今は自分の側にあやかがいる。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

183人が本棚に入れています
本棚に追加