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「無時着ー!」
「お、やっと無時着か」
「ちょい縁起でもないわねえ」
妹が大型飛空船のタラップから勝手に降りだしたので、俺が首を向けると、佐江島さんは顔をヒクつかせている。
海洋浮上都市アトランティス。その都市部にあるアトランティス空港はとても広大で、大型飛空船をも軽々と30隻も離着陸ができるほどだった。そして、ここは日本から南へ飛空船で20時間もの距離が離れていた。いわば南国でもある。
「なんか、悪いなー。こんな素敵なところに、妹も一緒に連れてきてくれて」
「え?!」
「……」
俺は佐江島さんと降りていく。妹は空港と飛空船を結ぶ連絡通路内で、窓の外を眺めていた。
「お兄ちゃん? 会場。あれだよねえ? 黒い煙が出ていて、なんだか色んな人達が包囲しているんだけど? お祭り?」
「ええ。そうよ。もうフェスが始まっているんだわ」
「おおー、行こうよ。行こう」
俺たちは、ひと通りアトランティス空港を見てから、会場へはタクシーを使った。
なんでもタクシー運転手の大袈裟なジェスチャーだと、会場は今大変なんだそうだ。でも、ここの国の言葉はわからないので、妹も佐江島さんも気にしないことにした。
会場へ着くと、何故タクシー運転手が大袈裟にしていたのか、何故包囲されているのかが、よくわかった……。
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