リディア

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無事で良かった。リディアも……本当は待っていたのだろう?  私は、君の気持ちを大切にしたい。 もう、私の役目は終わった。君を自由にしたい。アーサーの元に……戻るといい。」 じゃあどうして、そんなに苦悶の表情をうかべているの? ほんの少しも私への愛情はないの? どんなに手を伸ばして触れようとしても、あなたはいつも私の手を取ってはくれない。 フレディの手元に置かれた新聞の見出しが、目に飛び込んでくる。 7年前、遠征に行って行方不明となっていた隊員が発見保護されたと。 ずらりと並ぶ名前の中に、私の元夫であるアーサーの名前もある。 ━━生きていたのだ。 あれは7年前、隣国との諍いが絶えなかった頃。アーサーも国境付近の警備強化の為、駆り出されたのだ。緊張状態が続いて、隣国に捕虜として捕えられたり、殺された者もいる。1年後、和平条約が無事に結ばれて、徐々に兵士達も戻ってきた。 が、戻ってこない者もいた。アーサーもそのうちの一人。捕虜として連れて行かれたのかも不明。遺体を見た者もいなかったので、人目につかない場所で息絶えたのかもしれなかった。 2年、3年、4年と何の音沙汰もなく月日が流れた。この国では、配偶者が5年行方不明の場合は、離縁が認められる。 そんな5年目のある日、フレディから結婚の申し出を受けた。
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