10人が本棚に入れています
本棚に追加
私とフレディとアーサーは、学園の同級生だった。
アーサーは騎士科、フレディと私は文官科だった。フレディとは、図書室でよく一緒になることが多かった。
いつも私はお気に入りの場所があって、定位置として座っていた。
そんなある時、私のお気に入りの場所に、フレディが座っていた。
別の席に移動しようとしたら、「いつもここに座っている方ですよね? 隣に移動しますのでどうぞ」と、席を譲ってくれた。
私のことを認識してくれていたことに、思わず驚いた。
それから自己紹介して、少しづつ話すようになるうちに、フレディの友人のアーサーとも話すようになった。
私達は、それから3人で過ごすことが多くなった。
アーサーは図書室へ来ることはなかった。本の匂いが苦手だからと。
そうして、忘れもしない運命の卒業式の日を迎えた。
勤め先もそれぞれ決まっていて、晴れやかな気分だった。
私は、ずっと胸に秘めていた想いを、あの日、あなたに伝えようと決心していた。
あなたなら、学園での最後に、図書室へ立ち寄ると思っていたから。
そして、いつもの場所に座っていると思った。
私のお気に入りの席の隣の席に。
最初のコメントを投稿しよう!