リディア

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私とフレディとアーサーは、学園の同級生だった。 アーサーは騎士科、フレディと私は文官科だった。フレディとは、図書室でよく一緒になることが多かった。 いつも私はお気に入りの場所があって、定位置として座っていた。 そんなある時、私のお気に入りの場所に、フレディが座っていた。 別の席に移動しようとしたら、「いつもここに座っている方ですよね? 隣に移動しますのでどうぞ」と、席を譲ってくれた。 私のことを認識してくれていたことに、思わず驚いた。 それから自己紹介して、少しづつ話すようになるうちに、フレディの友人のアーサーとも話すようになった。 私達は、それから3人で過ごすことが多くなった。 アーサーは図書室へ来ることはなかった。本の匂いが苦手だからと。 そうして、忘れもしない運命の卒業式の日を迎えた。 勤め先もそれぞれ決まっていて、晴れやかな気分だった。 私は、ずっと胸に秘めていた想いを、あの日、あなたに伝えようと決心していた。 あなたなら、学園での最後に、図書室へ立ち寄ると思っていたから。 そして、いつもの場所に座っていると思った。 私のお気に入りの席の隣の席に。
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