第七章 イケメン完璧社長の奇行

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 午後もついてきたらどうしようと思っていたので、少し安心する。嬉しい気持ちはあるけれど、周りからの視線がとんでもなく痛い。  食事を食べ終えると、社長は本部の最上階へと戻っていった。 (つ、疲れた)  相手は社長なので色々と気を使う。それに、私が有紗の身代わりをしていたことを気付かれてはいけないので余計な緊張もする。幸いにも、身代わりの件は、気づかれることはなさそうだ。  これだけ一緒にいて話していても大丈夫なのだから、もう気づかれることはないだろう。  クリーンルームへ戻ると、主任はじめ、同僚のみんなが興味本位で群がるように近付いてきた。 「田中と社長、なにがあったの?」  同僚に聞かれ、首を傾げる。 「それが私にも全然わからなくて」 「なんか、希少動物に懐かれているかんじだよな」  主任の言葉に一同感心して頷いた。そうそう、本来は人間嫌いの動物に懐かれているかんじ。どこへ行くにもついてくる。どうして懐かれたのかがわからないのだけれど。 「社長ってちょっと変わっていますよね」  同僚の言葉に、みんながうんうんと賛同した。 「変わっているってどういうことですか?」  主任も朝に同じことを言っていた。その時は聞けなかったが、今度は主任がちゃんと答えてくれた。 「研究機器とか、化学物質とか元素とかやけに愛おしそうに見るし、語り出すと止まらない。オタク気質なところがあると思う」  あ~、それはなんとなくわかる。自分も似たようなところがあるから共感してしまうけれど、普通の人から見たら天才肌の異質な存在に見えるかもしれない。 「ちょっと変わっているものが好きになるから、社長のツボに田中が入ったのかな?」  同僚が無遠慮な目線を私に向ける。  変わっているものってなによ、失礼な。 「社長は私のことを女として見ているとか、そういう類ではないと思います」 「俺もそう思う」  主任も同意してくれた。 「女性として気になっていたら、あんな風に破顔してついて回るか?」  主任の言葉にみんな納得した。それに、そもそも社長が私のことを好きになるという想像ができないのだと思う。私もできない。
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