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すると夫は怒り心頭で、とんでもない事を言い出したのである。
「お前のせいで昨夜は寝られなかった!」
「イビキかいて寝てたわよ?」
「いいや、俺は寝てない!」
「学クンは昨夜、私が電話で話してる途中から高イビキで寝始めて、今朝ギリギリまで何時間もずっと寝てたわよ?」
「いいや、俺は一睡もしていない!」
「学クンのイビキ、電話の向こうの陽子にも聞こえてたのよ?」
「俺は本当に昨夜から一睡もしていない!」
こうして夫は迷惑顔で被害者面をするのだ。自分が許可を与えておきながら、後出しジャンケンのように卑怯な言いがかりをつけて。
自分のイビキが電話の向こうの陽子にも聞こえていたという自分にとって都合の悪い事実は聞こえないふり。
そして、その件に関しては直接答えずに延々と言いがかりをつけて強弁する。
おそらくこの日、夫は何かやらかして上司にこっぴどく叱られたのだろう。
無反省な夫は、上司を逆恨みするものの逆切れするわけにはいかないから、怒りを溜め込んで帰ってきた。
そして帰宅後に私に八つ当たりしてストレス解消していたのだ。つまり私を精神的サンドバッグとして利用していたということである。
今ならそれがよくわかる。当時はまったくわからなかったが。
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