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星空の下のテラス
課外授業として林間学校があるだなんて、この高校を選んだ時には知らなかった。
「いつまで不貞腐れてんの……」
「林間だけじゃないのよ。修学旅行も合宿も、わたしにとっては地獄でしかないの!」
膨らませている頬を突いて空気を抜こうとしてくる柚葉を睨む。
完全な八つ当たりでしかない。
そんなことをしても柚葉は苦笑するだけで怒ったりはしない。
「友達と泊まれて楽しくない?」
「楽しくない! だってわたし、家以外で寝れないんだもん」
わたしはなぜか家以外で眠ることができない。
どれだけつまらない授業でも、うたた寝することすらできない。
祖父母の家でさえ眠れないから、泊まりに行った記憶は幼稚園の頃にしかない。遊びに行きはしても日帰り。家族旅行もすべて日帰り。
そうなったきっかけがあるわけじゃなくて、ただ昔から家以外で眠れない。
「じゃあ、休むの?」
「そうしたかったんだけど、単位取れないぞって脅された」
今の担任とは馬が合わない。おそらく嫌われているんじゃないかと思う。
わたしも好きじゃないからいいんだけど。
「やらないぞ、の間違いでしょ。休んだら本気でくれる気ないわよ、あいつ」
「あんず、ほんとに担任と仲悪いよね」
「嫌われてる相手を好きになれるわけないでしょ」
よしよしと頭を撫でてくれる柚葉の肩に頭を埋める。
単位をもらえないと言うことは、進級できないと言うこと。
ドクターストップでもあれば問題ないだろうけれど、生憎わたしは病院にはかかっていない。
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