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そんなこんなで、わたしは林間学校への参加を余儀なくされた。
親も担任に口添えしてくれたのだけれど、担任は『それだと娘さんに単位はあげられないことになります。そうなると進級は危ういですね』と一蹴された。
一週間はあの担任の愚痴を言い合ったものだ。
とにもかくにも林間学校に参加することになったわたしは、バスに揺られていた。
「あーんず。お菓子食べる?」
「……食べる」
不貞腐れたまま窓の外を眺めていたわたしに、柚葉はわたしの好きな駄菓子を差し出してくれた。
わたしは好きだけど、柚葉はそこまで好きなお菓子じゃなかったはず……。
まさかわたしにくれるためだけに買ってくれたのだろうか。
「……柚葉、ありがとう」
「どういたしましてー」
髪をわしゃわしゃと撫でられ、頭の上に駄菓子を乗せられた。
頭からずり落ちてきたそれを両手でキャッチした。
山に向かって走っていくバス。
最初はビルの間を走っていたのに、気が付けばあたりは自然に囲まれていた。
「もうすぐ着くってさ」
「うん……」
柚葉が教えてくれる。
わたしは今夜も眠れないんだと思うと憂鬱で仕方がなかった。
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