星空の下のテラス

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今日の疲れと汗を流したら、少しはすっきりした。気分も晴れたような気がする。 だからと言って、眠れるわけもなかったのだけれど……。 仕方なく、わたしはこっそり布団からはい出た。 女子4人の部屋で、わたし以外は気持ちよさそうに寝息を立てている。 片足を布団から出している子、頭まで潜って丸まっている子、寝相よく仰向けに寝ている子……三者三葉の寝方をしている。 その横をなるべく音を立てないようにして部屋を出た。 こんなところを担任に見つかったらそれこそ単位をはぎ取られそうだ。 一応布団の中に人がいるように見えるような細工はしてきたけれど。というか、担任は男だし、さすがに女子部屋を見に来ることもないだろう。 副担任なら来るかもしれないけれど、あの人はそこまで真面目そうな人じゃないから見回りにきてもわざわざ布団を捲ったりしなさそうだ。 部屋を出たわたしは、旅館の廊下を歩く。 先生とすれ違ったら終わるだろうから、周りから聞こえてくる音に意識を集中させた。自分は足音を立てないように気を付けて歩く。 眠たいのに変なところに意識を向けないといけないのはしんどい。 あぁ、そうだ。もしも見つかったときはトイレに行きたくなって起きたけど、寝ぼけて迷子になったとでも言おう。 それならちょっと注意を受けるだけで済むかもしれない。
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