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確かに、そうであった。読書好きの綾だが、執筆に集中して読書を禁じ、本が読めない、本を読まない時期があった。その経験が頭に残っており、弘明に対しての問いが特殊なものになってしまったのだろう。
綾は、素直に今でも執筆を続けていると打ち明けた。
今でも執筆を続けていると知ると、弘明は嬉しそうに「みんなには内緒にしますね」と笑った。
その日から二人は、同僚であり同志になり、休日に二人きりで会う機会を作るようになった。
綾は、彼との時間が大好きだった。彼の笑顔を見ていると、心が温かくなり、まるで彼女の中の何かが解放されていくようだった。
読書が好きで、執筆をしている。
それ以外は、二人は真逆だった。
インドア派の綾と、アウトドア派の弘明。引っ込み思案の綾と、社交的な弘明。執筆している共感と、自分と真逆の感性がお互いを引き付け、二人は出会って半年で恋愛関係に発展、一年半後に同棲を始める。
そして今日は、同棲を始めて最初の弘明の誕生日。だが、綾は事情があり昨日から弘明のいる部屋に帰っていない。
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