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弘明には、家庭の事情で三日ほど家に戻らないといけないと伝えてある。誕生日の今日、二人とも仕事が休みなので、職場で会うこともできない。
そんな弘明に、綾はメッセージを送った。
やさしい君へ。
まいにち君のことを思ってるよ。
であえて本当に幸せ。
お互いに支え合っていこうね。
いっしょにいる時間が大好き。
わたしの心は君のもの。
いまもこれからもずっと愛してる。
そのメッセージと一緒に、荒幡富士の写真を一緒に送る。
山や海が好きな弘明は、綾と一緒に山や海に行きたがった。
登山をする体力はないし、水着になるのも恥ずかしいから嫌と拒否すると、弘明は「こんな山ならどう?」と提案したのが、近所にある荒幡富士だった。
近所にあり、標高約119メートルとそこまで高くない山。例えば、十二階建てのビルぐらいの高さだよと説明された山。
その小さな山の前で、綾は祈るようにケーキとハイキング用の手作り弁当を持ち待つ。
風がそよぎ、木々の葉がさわさわと音を立てる中、彼女は不安と期待が入り混じった気持ちで待ち続けた。
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