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【第11話】真実はいつも優しくない
「やるじゃん」
後ろからかけられた声に思わず振り返る。
「アカリ!!目が覚めたの!?」
そこに立っているのはどこか見慣れたギャルっぽい見た目の女の子。
「うん……」
そう言って寂しそうな雰囲気でその場に佇む。
そもそもその見た目はどういうことなのか?
「この見た目にびっくりしてるよね?ウチもそう。でもね、こっちがウチの本当の姿。今までがただ逆だっただけ」
いったい何をと自分の身体を見渡すと、これまでアカリが着ていた制服と同じ制服を纏っていることに気が付いた。
顔をぺたぺた触ると決定的な感触がある。
眼鏡だ。
どうやらいま私は眼鏡を掛けている。
その瞬間、これまで所々で覚えた行動の違和感が線となって繋がり、入れ替わりという現象に納得してしまった。
「それでね?」
衝撃的な事実をあたかも前座と言わんばかりにアカリは告白を続ける。
「ここがゴールみたい」
そう言われた瞬間、自分の後ろに大きな気配が生じる。
振り返るとそこに鎮座していたのは、これまでに見たことのない大きさの扉だった。
あまりに超常現象が過ぎるが、何故か本能的に理解できた。
「なら早く一緒に出よう!?」
アカリに駆け寄って手を掴もうとするが、私の右手は悲しく空を切る。
「それは無理なの。だって……もうウチ死んじゃってるから……」
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