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【第3話】ワンサイド マシンガントーク
歩きながらも日向さんは絶えずに話を振ってくる。
「どこ中だった?」「部活やってる?」「好きなアーティストは?」「彼氏欲しい?」
勢いに圧倒されたのもあるが、そもそも私は自分の意見を言うのが苦手だ。
そうして「あぁ」とか「うん」とか気のない相槌を返していると、前を歩いていた日向さんがくるりと振り返って真正面からどストレートパンチを放つ。
「ヨルちゃんさー。ウチのこと苦手?」
「えっ」
その通りだ……なんて口が裂けても言えない。
「あちゃー、ウチぐいぐい行き過ぎってよく言われるんだ? でもね、それって仲良
くなりたいからなの。ごめんねー」
日向さんは苦笑しつつ、それでも私の目から視線を逸らさず陽の極みのようなビームを放つ。
そのあろう筈もなく。
「うん、わかった」
「やったね!じゃあまずはー……。ウチのことは“アカリ”って呼んで?」
その屈託のない笑顔光線に射貫かれた陰キャに抵抗の術などある筈もなく、白旗を上げるしかできなかった。
その心の強さが、微かな憧れとなって胸の奥にこびり付いた。
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