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【第4話】謎解きは危険と合わせて
アカリさんは善良で、まっすぐで……しかし、行動が浅慮だった。
分かれ道を勘で選んで行き止まりに詰まったりと徒労が嵩む。
彼女の表情にも翳りが見え始め、どことなく気まずい沈黙の時間も増えていた。
ここから一生出られないのでは?という不安感。
お互いに余裕がなくなりつつあるなか、幸か不幸か新たな広間に到着した。
「ここは……?」
部屋の中央には広い台と腕先くらいの大きさの人形が大量に鎮座し、得体のしれないプレッシャーを放っている。
奥には何かを乗せるであろう台座と大きな扉。
周囲を訝しみながら部屋に足を踏み入れると、入口の脇に石板がかかっていることに気が付いた。
<果テノ安寧ヲ護ル者、旅人ノ新タナ道ヲ開カン>
なんだこれは、インディーな冒険映画?
非現実的な光景に思わず現実逃避に思考が傾く中、声が響いた。
「これは人形を台座に置けってことなのかな?」
その手には豪華な装いのおそらく王様の人形を握ったアカリさんが台座の前に立っていた。
「……ッ!!」
焦りの声にならない声が喉につっかえる中、無慈悲に人形が台座に据えられる。
ガコンという大きな音のあと、扉の前の床が大きく抜ける。
「アカリさん!」
予期した結果と違い、まだ地面にその身を残したアカリさんのところへ思わず駆け寄った。
「あっ、危なかったー……」
どうやら最初の異音の際に思わず身を引いていたらしい。
もし?の結果を確認すべく穴を覗き込むと、穴の底はかの有名な針山地獄を彷彿とさせる光景だった。
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