メガネ

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メガネ

 その日の放課後。  帰り道を、一人とぼとぼと歩く。  空を見上げるのが日課になっていたある日のこと、学校終わりにふと公園に立ち寄り何となくベンチに座ってぼんやり空を眺めていたら、七歳くらいの女の子が通りかかって、突然僕に 「あなたが思うことは、ある意味でただしい」 と言ったあとに 「もしかしてあなたは光を見分けられない目の障害があるの?」 と聞いてきた。 「……は?」  嫌悪感を抱く。  初対面の僕を障害児扱いするなんてと思った。  でも、睨む僕に女の子は怯まなかった。 「これ、あげるよ」  手を伸ばして、僕に無理やり何かを握らせて女の子は去っていった。  持たせたのはごくごく普通のメガネに見えた。
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