メガネ

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 次の日、メガネをつけて学校に行った。  その日も音楽があったので教室を移動しようとしてまた教科書を探す。  昨日みたいにフォグブルー色の世界じゃなく世界に色がついているからなのか、教科書をすぐに取り出せた。  するとクラスメートの子が僕に近づいてきて 「なーんだ」 と僕を見て言う。  悪口でも言われるのかとクラスメートの子をちらりと見ると 「河野くんっておかしい子じゃなかったんだ。ただ、目が悪かっただけなんだね」 と僕に微笑む。  見ると、僕を見る周りの目が何だか柔らかくなった気がした。 「一緒に行こうよ」  誘ってもらえた。  その日を境に僕の周りには人が集まってくるようになった。  クラスメートの子の制服のボタンが取れそうなのを見つけて、僕は鞄から持ち運び可能な手のひらサイズの裁縫セットを取り出して 「直してあげる」 と手をさしのべると 「特技意外すぎ。お前ってさ面白いのな」 と笑ってくれた。  その子は過去に僕に 「あいつってさ、なんかおかしくね?」って言った子で、でも今は 「後付けで信じてもらえないかもしれないけど、おかしいって言ったのは「あいつ大丈夫か」っていう意味だったんだ。机の下の教科書を探す時もなんか行動おかしかったし、ただお前が心配だった」 なんて言う。  僕にはずっと目に障害があったのだろうか。  家族が僕を見放したのも、目が理由か?  目のことで病院に行ったことがないからまだよく分からないけど……。  分かったのは今の僕には、メガネをかけていなかったあの時の僕に見えていなかったものが、見えているということ。
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