Prolog

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 みんなが言う  朝と昼と夜の空の違いを、  16年間、僕はずっと理解できなかった。  みんなが言う朝は明るく、  みんなが言う昼は朝より明るく、  そしてみんなが言う夜は暗い。  ……なにそれ。  朝も昼も夜もすべて  薄暗く、もやのかかった、  みんなが言う世界はフォグブルー色ではないのか?   「あいつってさ、なんかおかしくね?」  移動授業で音楽室にいくために机の下に入れた教科書を探していた時のこと。ほんの数秒教科書を見つけれずにいただけなのに、クラスメートは遠くからあからさまに僕を指さしてこそこそと何かを話していた。  おかしいと何でそんなことを言われなければならないのか。そんな場面は慣れていると言えばそうなのだが、なぜクラスのみんなから指をさされなくてはならないのかは分からなかったし、特に聞き返すこともしなかった。  聞き返さなかった理由は。  『だって僕は普通にしているだけ。  特別、おかしなことをしていない』
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