「本当は凄いモテるでしょ」2

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「本当は凄いモテるでしょ」2

 それから柚木君は何度もキスをくれてあたしの体を探った。「ここ好き?」「こうされるのは?」って聞かれて全部首を振った。恥ずかしいからやだ。と、ちゃんと答えたのに柚木君は何にも受け入れてくれない。散々あたしを苛めてから笑う。 「東雲さん」  もうふにゃふにゃになったあたしに優しいキスをくれて、目を開けたら柚木君は言った。 「本当に嫌な時はあんな拒否じゃ駄目だよ。男は止まれなくなるから」  何の事? 「入れて良い?」  駄目駄目。と、首を振った。もう体がおかしくて、そんなことするの怖い。 「だからそれは駄目だって…」  耳元で独り言が聞こえてきてずるっと体に響いた。柚木君のせいで抵抗も無いくらいあっさりと。 「あ…っんん…」  そのままゆっくりと奥まで入り込みながら柚木君が囁く。 「本当に嫌?」  酷い。もうしてる癖に。  分かってる癖に。  必死に首を横に振ったらほっとしたような笑い声が聞こえてくる。その顔も何をされるのかも目を閉じていて何にも見えないあたしを抱き締めて少し動いた。 「う…あ…」  少し軋んだベッドの音と感じる重みに目眩がした。体が感じているのが分かる。どうしてこれって、こんなにどうしようもない感覚なの? もう、意識が途切れそう。 「あ…あ…っ」  もう羞恥心に構っている余裕もなくそれを感じていたら動きが止まった。強弱のなくなった快感が揺れて、やがて治まってそこにじっとしてる。でも疼くような感覚もあって、この後動かれたらどうなってしまうんだろうって怖くなった。 「東雲さん」  やがて優しく頬を撫でられて名前を呼ばれた。うっすらと目を開くと柚木君と目が合う。 「気持ち良い?」  その言葉にも、ぞくっと体が疼いた。そんなの一目瞭然で、体からも伝わっている筈。さっきまでだって勝手に察してくれていたじゃない。そう思いながら返事に迷ったら、甘えるように抱き着いてきてこんな事を言う。 「さっきはあんな事言ったけど、たまには素直に答えて。不安になる」 「…」  その言葉に、…うん。と頷くと強く攻めてくる。狡い。 「あ…ああ…ん…っ」 「その声凄く良い」 「や…っ」 「駄目。もっと」  それからは何度も快感を与えられて、それでも止めてくれない柚木君に何度も問い掛けられて答えさせられた。 「またいっちゃった?」 「…う……う…ん」 「もっと?」 「…あ…っも…もっと…」 「…俺のこと好き?」  何でそんな事聞くんだろう。うん。と頷いた。 「意地悪でも好き?」  そうじゃない。って思う。柚木君の意地悪は嫌な気持ちにならないし、何より愛情を感じる。可愛がってくれているからこそからかわれているような。 「好き…」  はっきり答えたら、その後は何も聞かれなかった。でも、それまでよりも激しく抱かれて必死だったから覚えてないだけなのかもしれない。 「俺も好き」  って聞こえた気がするけど本当だったのかな。
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