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給湯室の内緒話
「柚木さんって本当に優しいですよねー」
「うん。すっごく優しい」
「穏やかだし」
「全然イライラしないよね」
「きっと中の人、仏様なんですよ」
「中身がおっさんだとは思いたくないけど言いたいことは分かる」
「そうかなぁー」
給湯室。女性三人組はこっそりと無駄話に花を咲かせていた。そこを通り過ぎた影が一つ。…あったけれども三人は気付かない。
「案外意地悪かもよぉー?」
その影は、その言葉に足を止めた。給湯室の話は丸聞こえ。
「ええー?」
「絶対無いよー」
「いやいや、甘いよ君達。ああいう男はね。もう一つ別の顔があるんだって」
「そうですかー?」
「でもそれはそれで良い」
やいのやいのと三人組の話は終わらない。
「へぇ…」
その外で、誰かが小さく笑った。
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