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恵理が目を覚ました頃、朝陽たちは教会地下の入り口に来ていた。
「——悪魔の声が聞こえるわ!!」
顔を真っ青にしたクレアが言った。
「どこからだ?」
「礼拝堂の方からよ」
「まずいな……。もう喰われ始めているかもしれない」
ジャンは眉間にしわを寄せた。
「遠藤くん、僕は先に礼拝堂に向かって様子を見てくるから、君はクレアと一緒に地下で聞こえた音の正体を探ってきてくれないか?」
「っ分かりました! 行きましょう、クレアさん」
「ええ!」
朝陽たちは二手に分かれ、丈司と恵理の救出に向かった。
△
地下の扉を開けると、ちょうど恵理がそこにいた。
「恵理、無事だったのか!」
朝陽は恵理に駆け寄った。
「大変なの、丈司が!! 私、どうしたらいいか分からないわ」
朝陽の顔を見て安心したのか、その場で力無く座り込んでしまった。
クレアがそっと恵理の肩に手を置く。放心しているのか、恵理は決して顔を上げなかった。
「もう大丈夫だ。丈司は俺に任せてくれ」
「朝陽さん……」
恵理は涙を拭うと、スマホを持って力強く立ち上がった。
それを見たクレアはそっと手を引っ込める。
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