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ジャンは呪文を唱え、丈司の動きを封じていた。
「『主の怒りは燃え上がり、地は揺れ動く。
山々の基は震え、揺らぐ。
御怒りに煙は噴き上がり
御口の火は焼き尽くし、炎となって燃え盛る』
クソッ、ダメか!!」
ジャンは紫色のストーラを翻し、丈司が投げてきた長椅子や講壇を避けた。
——この邪悪な悪魔を退治できるのは、今日しかない!
朝陽とクレアが来るまで何とか時間を稼いでいたが、力の限界を感じていた。
「ジャンさん、お待たせしました!」
朝陽が、階段の方から顔を出した。
「遠藤くん!」
苦痛に歪んでいたジャンの顔に、少し余裕の表情が生まれる。
「っ丈司!!!」
朝陽は目を見開いた。
丈司の皮膚は赤く爛れ、目は真っ赤に染まり、血の涙を流している。
丈司は朝陽の存在に気づくと、弱々しく手を伸ばした。
「助け、て……。アァ、サ」
「丈司!!!」
朝陽は喉が張り裂けんばかりに名前を呼び、無意識にこう願った。
——神様、どうか丈司を助けてくれ!!
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