CHAPTER Ⅴ 別れ

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 恵理と丈司を見送り、後ろを振り返る。 ——彼はあの一瞬で気づいてしまったのだ、ある悲しい事実に。 「ジャンさん、クレアさん……」  二人は悲しそうに目をふせ、こう告げた。 「……僕らは百年前に故郷のヴァチカンから依頼を受けて、この教会にきた。そして悪魔祓いに失敗して死んでしまったんだ」 「それが心残りで私たちは現世にとどまってしまい、天国へ行けなかったのよ」  何と言ったらいいか、分からなかった。 「でも、これでこれでやっと終わりましたね、神父様」 「そうだね、クレア」  二人は顔を上げる。  頬には赤みが差していた。太陽の光を受け姿が徐々に薄くなっていく。 「遠藤くん、さよならの時間だ」  消えゆく二人を見て、朝陽は涙目で言った。 「ありがとう、ございました」 ——こちらこそ、ありがとう。  二人の最後の声は、山の湿った風に溶けていった。 End.  
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