死神と誰かの記憶

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首にロープが巻き天井からぶら下がった母親からは血が流れ落ちていた 俺は震えればその母の下で立っている父親はゆっくりと此方へと振り返る 『 っ!! 』 ぞくりと震える後ろへと下がり声を殺した俺にルカは抱き締めてきたコートで顔を隠すように抱く ルカに俺は恐怖で震え上がって居れば玄関から扉は不意にも開く 「 ただいまー!あれ?ママー 」 この状況で聞こえてきた子供の声に俺は思い出す 『 来たら、来たらダメだ……来たら!!! 』 震えて片手を廊下へと伸ばせばルカは俺の身体を強く抱き締めたまま眉を寄せた 幼い子供は母親を探しこの部屋の何故か閉まっている扉を開けた 「 マ……ママ……?パパ……ママなんで…… 」 「 ダメじゃないか…… 」 子供へと手に持つ包丁を向けた 『 いやぁぁぁぁぁあ!!!! 』 思い出した、俺はあの時に…… 子供に向けられた包丁より先に視界は真っ暗になりルカは只耳元で"すまない"と謝ってきた 『 っ…… 』 ハッと我に返り自分の腹を触り生きてるか確認すれば安堵する そして此所が何処だと周りを見渡せばソファの手摺に頬を杖を付き目を閉じているルカはゆっくりと目を開けた 「 御前の名前は……浅井(あさい)悠希(ゆうき) 」 ルカは胸元から何かを取り出しテーブルに投げて置いたのは俺の写真と小学生の頃の写真付きの保険手帳だ 少し疲れてる様子のルカは息を吐けば俺はさっきの光景が夢に見えないことに腹へと手を置く 『 俺はあの後、起きたら病院だった……父親は母親の殺害容疑と俺の殺人未遂で逮捕された……あれは俺の過去なのになんで…… 』 「 嗚呼、過去に戻っただけさ…… 」 戻る、そのやり方はきっと俺には理解出来ないが気を失う前の行動が有るのだろ だが過去に戻れるなら…… 『 もう少し前に戻って母さんを助けれるじゃないのか!?俺は幼かったと言えど…… 』 「 其は出来ない 」 『 何でだよ!! 』 ルカの長いロングコートを掴めば彼は一つ深く息を吐いた 自棄に顔色も悪く見えるし疲れてるようにも見える 彼は俺の方へと身体を向け凭れながら腕を引き自らの上へと被さるように引っ張った 『 わっ……! 』 顔色が悪いのに力は強いんだとどうでもいいことを考えて居れば彼は俺の頬から首元へと指を滑らせる 男の人の上で被さる事に慣れてる筈もなく下からの視線に逃げるように目をぎゅっと閉じた 「 過去は見えても変えれない。御前があの時……子供の頃の御前に来てはダメだと言っても聞こえなかったろ……其に確実にあの時のあの前に戻ったとしても…… 」 『 もう一度、もう一度……あの時に戻れないのか……父さんがなんで殺したのか知りたいんだ…… 』 過去は変えれないとするなら知ることは出来るんじゃないかと 俺は幼かったし子供心に両親の事は何一つ理解できて無かったんじゃないのかと…… ルカの服を掴み告げれば彼は一つ息を吐いた 「 分かった……エルザ、頼むな 」 「 えぇ、任せて 」 聞こえてきた女の人はどうやらこの部屋の端で壁に凭れていたらしい ルカは起き上がり次に俺をソファへと押し倒した 「 上手く行けるか分からないがやってみてやる 」 『 ……嗚呼 』 「 出来るだけみたい過去を思い出すように努力してくれ 」 ルカは何処か悲しそうに俺の頬に触れる 触りかたはまるで壊れ物を扱うように触れれば頬へと口付けを落とせばさっきとは逆の右側へと唇を当て噛み付いてきた 痛みで涙が溜まりぐっと奥歯を噛み締めれば彼は口を離し自らの首元を晒す 「 咬め、互いの血肉が必要だ 」 『 ………… 』 出来るだけ強くと言われてもそんな気力は無いと服を掴み顔を寄せた後に首筋へと噛み付いた 痕が残る程度で良いのかと咬めば彼の皮膚は僅かに切れ血は滲んだ 上出来だと呟いた彼の背後からエルザは胸元から拳銃を取り出し向けてきた 「 "逝って"らっしゃい 」 ズダンと鳴り響く銃声音と共に俺の意識は途切れた 「 下手くそ……ぐっ 」 「 あら、ごめん……もう一発するわね 」 「 ……ゴホッ、っ 」
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