死神と誰かの記憶

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あの廃墟のビルの片隅に膝を抱えて座り込んで居たのは俺自身だった 孤児院から抜け出してそして俺は、孤児院に居る男に連れ戻されたんだ 帰りたくは無かった、独りで辛かったからこそその場から目を逸らしていた 俺はそれとなく孤児院で生活して 中学校を卒業して高校からは寮生活とバイトに明け暮れていた 何一つ楽しくもなく、けれど過去が無ければ平凡だと言うことに 「 満足か……? 」 『 うん、此処までは思い出した 』 戻る時間はほんの僅かだが ルカは何度も繰り返す度に顔色は悪くなる けれど其を俺に言うことはない "それが仕事"なんだと少からず俺は察していた 高校の卒業式を見終えた俺はそっとルカの元へと戻せれば彼はゆっくりと俺を抱き締めた この感覚も慣れた程に繰り返し一つずつ無くしていた記憶を甦らせてくれるルカに感謝しかない ゆっくりと目を覚ませばもうすっかりと覚えたあのオフィスでルカは目を閉じていた様子から瞼を開け薄暗い光でも反射するほど綺麗な瞳を俺に向けてきた 「 悠希……此処から先は辛いと思うぞ 」 『 構わない。最後まで俺は知っていたいから……どんな、結末でも 』 記憶を無くしていた俺に彼は何度も過去を見せてくれた だからもう最後まで知りたいと頷けば、ルカは一つ息を吐き自らの太股を軽く叩いた まるで座れとばかりの動作に首を傾げながら近付き膝の上へと移動し向き合うように腰を下ろした 何度もキスをされ咬まれた事には慣れたが何となく気恥ずかしいなと目線を泳がせば彼は俺の髪から頬へと触れる 「 結末か……其を御前が望むのなら俺は何度でも見せてやろう 」 『 ふふっ、ルカって何となく不思議だ……傍に居ると安心するし触れられると嬉しい…… 』 彼の見た目は美しいほどに怖いが其でも雰囲気や触られる感覚は正直好きだ まるでずっと前から一緒にいた様な安心感も有るからこそ身を委ねて過去を見せて貰える 「 "今"の御前には俺の存在は心地いいかも知れんな 」 『 うーん?かなりかな 』 「 そうか…… 」 ゆっくりと額を当て鼻先を自らの擦り付け当たり前のように唇を重ねる 何度も触れる口付けに笑みを溢せばルカは腰を支え背中を撫で上がる 『 んっ…… 』 ゾワッとする感覚に身を捻らせれば彼は俺の顎に舌を滑らせる 顔を下げて舌を出せとばかりに触れられ舐められる事に抵抗できず顔を下げルカの頭を両手で抱えながら舌を差し出せば舌先は絡み合い擦られ、甘ったるい吐息は漏れる 『 んっ、はぁっ…… 』 過去に飛ぶ為ではなく、只優しいキスをされることに身体の芯は熱くなる 肉体関係を持ったことが無いからなのか、其とも単純にルカに触れられる事が嬉しいのか…… どちらにしてももっととねだる自身がいた 「 随分と良さげだな……キスだけで勃起してるぞ? 」 『 言うな…… 』 「 触って欲しいくせに 」 瞳を細め喉を鳴らし唾液を飲むルカの艶めいた表情に身体は震え、片手でズボンの釦を外されれば窮屈だった其処は解放され 陰茎はルカの手によって緩やかに擦られる 『 ぁ、ッ…… 』 自分でもしないのに、相手に触られる事で尚更感じて声は漏れる 恥ずかしくてルカの首元のカッターシャツの襟を咬めば彼は僅かに鼻で笑い俺の髪へと鼻先を当てながら巧みに手を動かし陰茎を愛撫する 『 ンゥッ……ンッ…… 』 「 悠希……愛らしいな、気持ちいいか? 」 『 んぅ…… 』 耳に響く声に身体は震え其なのに恥ずかしい事を問われれば頷くしか出来なくて襟を噛んだまま返事をする 漏れる先走りはルカの手を汚し親指で敏感な亀頭を擦られ、外尿道口へと爪を立てられれば身体に力が入りルカの服を握り締める 「 イきそうなんだな……可愛い 」 『 んんっ……んぅ! 』 「 悠希、我慢しなくていい 」 『 ……っ、ンンンッ!! 』 声に誘導されるよう我慢しようと身体に力を入れていたのを僅かに緩め素直に快感へと意識を向ければ根元から擦られ上げそのまま身体を曲げ抱き付きながら欲を吐き出した 『 ハァッ、はぅ…… 』 「 イケたな……そのままゆっくり腰を上げて……そう、いい子だ 」 震える身体のままルカにしがみつき僅かに腰を上げれば濡れた指は一本内部へと入ってくる 異物の感覚と違和感はあっても痛みはなく中で動ごかす度に太腿は震え鳥肌が立つ 咬んでいたカッターシャツがヨレ唾液によって汚れたことを気にし口を離せばルカは穴に指を入れる方とは逆の綺麗な手で俺の髪に触れる そのまま顔を向ければ口付けが重なった 『 っ、ンッ…… 』 咥内を味わうように舌で裏歯並びをなぞられ甘い息を吐き自らも舌を絡ましていけば 後ろで溶かす指は次第に二本に増えていた
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