最悪な夜

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 「んっ、あ……ふっ、ぅあ」  声が我慢できていたのは、一体いつまでだっただろうか。  シオンの舌に陰核を転がされ、嬌声を漏らしながらユノは腰を浮かせる。  随分と簡単に快楽を拾う身体に変えられてしまった。  恥ずかしいと思う気持ちは変わらないのに、シオンが気持ち良いことしかしないと知っているから、少し触られただけでも期待して身体が疼く。  初めての時も普通に気持ち良かったけれど、今ではもう口付けの段階で濡れてしまっているのだからとんだ淫乱だ。シオンに力を分け与えるために……なんて、今の蕩けきった状態のユノを見て、一体誰が信じてくれるのだろう。  自分でもなんのために抱かれているのか、もう分からなくなっている。 「こら、足を閉じるな」 「あっ、やあっ、んぁ……あ、いく、それイッちゃうから、も、うぁっ……」 「はは、知ってる。気持ちいいよなぁ、ここ」  ここと言われたところを舌で転がしながら、シオンの手がユノの内腿を押さえた。  絶頂が近くなると、足を閉じてしまう癖を知られている。  少しでも快楽から逃げようと、腰を浮かせてしまう癖を知られている。  行為中のユノの動きは全部シオンに把握されていて、すぐに感じてしまう弱いところも知り尽くされているのだ。そのせいでシオンの思う通りに、最後まで行為が進められていく。 「あ、イく……イくの、イくっ……っん! んんっ、はぁ……」 「はは、かわいーなぁ。どんどん感じやすくなる」 「んぁ、あ……っんん」  数回達した後にシオンのものが挿れられて、その後もユノは散々喘がされることになる。  いろいろと抑えが効かなくなったのは、何度もこの行為を重ねて慣れたせいもあるのだろう。どうせ誰もこんなところを通らないし、今まで一度も気付かれていないのだ。そう思っているうちに、いつからかユノは声を抑える努力をしなくなった。  それに、ユノが声を我慢していると、シオンは楽しそうにユノが我慢できなくなるまで弱いところを弄ぶのだ。余計なことをして、これ以上体力を削られたくない。  そして厄介なことに、これが心から嫌なわけではないのだ。もしかしたら自分には、少しだけ被虐趣味でもあるのかもしれない。そう考えると嫌になる。
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