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説明もなしに渡されたけれど、わざわざヤンが持ってきたということは、最初からユノに渡す予定だったのだろう。
ただ呆れたような顔をしているヤンの前で、ユノはゆっくりと紺色の包みを開いた。
説明くらいしてくれてもいいのにと、そんなことを思いながら中身を確認し、真っ先に目に入ったものにヒュッとユノの喉が鳴る。
他にもいろいろと入っていた気がするが、そこまで確認する余裕はない。見てはいけないものを見てしまった気がして、ユノは慌てて包みの口を閉じた。
一体どういうつもりでこれを手渡されたのか、全く理解が出来ない。
包みの中、いくつかある物の中で一番大きく、真っ先にユノの目に入ったもの――それは、男性器を模したような金属の道具だった。
「な、なんですか。これ……」
「連れ込まれるのは問題なので、一人で処理できる道具を用意しておきました」
「は……?」
「素直にこれまでのことを謝罪して、二度としないと言うなら一度見逃そうとは思いました。ですがお前は言い訳してまで続ける気のようですし、理性というものがないのでしょう。どうしてもいやらしいことが我慢できないようなので」
あまりにも酷いヤンの言い方に絶句する。
自分が性欲も我慢できない獣のように見られているのかと思うと、情けなくて泣きたくなった。
「我慢できないとか、そんなんじゃありません……」
「ハッ、よく言う。本宮内に男を連れ込むなんて大胆なことをしておいて、恥ずかしくないと? こうやって道具を与えられても、自分で処理する気はないんですか?」
「だから、こんな……渡されても困ります! 使ったこともないし、使わなくても……」
「ああ、そうですね。使い方を教えます。どうぞ、脱いでください」
ニコリとも笑わずに言うのだから、本当にこの男は冗談が似合わない。
いや、冗談などではないのだろう。だけどもう冗談だと思って流さないと、とても冷静ではいられない。
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