最悪な夜

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 すぐに見えないように閉じてしまったけれど、あの中には何が入っていただろうか。  拘束用の縄以外には張形くらいしか思い出せず、何を使われるか分からない恐怖で、ユノの心臓がバクバクと嫌な音を立てる。  ヤンがこの離れを訪れた時は、まさかこんな展開になるなんて思っていなかった。  手にしている包みの中に、性処理に使う道具が入っているなんて思うはずがない。一体ヤンはどんな顔でそんな道具を用意したのか。 「やめてっ、お願いです。やめてください!」 「ほら、大人しく開きなさい」 「やっ、嫌です! 解いてください、ひっ……」  足が閉じられないように押さえられ、恥ずかしいところがヤンから丸見えになる。  閉じられない状態のまま紐で縛り付けられ、暴れようとする度にユノの脚に紐が食い込んだ。 「も、やだ……。いやだ……ちがう、ちがうのに……」  シオンには散々見られているけれど、それとこれとは別の話だ。  尋問されて吐くようなこともなければ、罰を受けるようなことを自分がしたとも思えない。  確かに、どこかで人間姿のシオンを見かけた人がいるのなら、誤解しても仕方ない行動をユノはしていたと思う。  自分が怪しい行動をしていたのはちゃんと認める。だけど、こんなことをする前にちゃんと話を聞いてほしい。 「やめ、あの……解いてください。こんなのおかしいです」  どれだけ必死に訴えても、ユノの声などヤンにはまるで聞こえていないようだった。  ユノに一瞥もくれず、ヤンが再び包みを開く。中から取り出されたのは、小さな洗濯挟みのようなものだった。 「とりあえず、先ずはこれから」 「やっ、やめて! いやっ!」  本当に道具の使い方を教えているつもりなんだろうか。こんなことをされて、まともに説明が頭に入るわけがないのに。 「あ、だめっ……やだ、やだぁ……」  両胸の先端が道具で挟まれ、いやいやとユノは必死に首を振る。  紙や洗濯物を挟む道具と、これは別物なのだろう。挟む力はそれほど強くもないし、思っていたような痛みはない。  ただユノの敏感なところを、軽く摘まれているような感覚だった。
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