最悪な夜

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 もう何回達したのかも、どこが気持ち良いのかも分からない。  考えること、全部やめたい。 「やぁっ、や、出る、出ちゃう……イクのくるっ……」  潮吹きするのが癖になっているのだと、ユノが達する特に面白そうにシオンは言っていた。  その感覚がまた来てしまうと、ガクガクと震えながらその瞬間を受け入れる準備をする。  は、とユノが息を漏らしたのと同時。ぎゅぽっといやらしい音を立てて、ユノの中に入っていた張形が抜かれた。 「手を離せ」  ヤンとは違う、低い男性の声。聞き慣れたその声に、ようやくユノは深く呼吸をすることができた。 「……シ、オン」  名前を口にした瞬間、ぼろぼろと落ちて止まらなくなった涙がユノの頬を濡らす。  シオンが何もないところから急に現れるのはいつものことで、ユノは少しも動じていない。ヤンだけは、若干戸惑いの表情を見せた。 「ああ、あとでちゃんと、ぜんぶ忘れるくらい上書きしような」 「うっ……」  真っ直ぐにユノだけを見つめながら、シオンは優しく笑って甘やかすような声を出す。ゆっくりと目尻に伸ばされた手が、止まらないユノの涙を拭った。  正直ユノは、自分とシオンがどういう関係なのか分からない。  だから今の行為をどう受け取られるのか不安だったのだが、どうやらシオンはそこまで怒っていない様子である。  望んでしたことではないけれど、まるで不貞の現場を見られたようだと思っていたから、いつも通りのシオンの様子に少しだけ安心してしまった。 「ああ、そうだ。お前――」  ユノが多少落ち着いてから、ようやくシオンの視線がヤンの方に向けられる。  よくよく見てみると、ヤンの手首ごとシオンが掴み、張形を抜いてくれていたらしい。それと同時に、ユノの弱点を摘んでいた道具も外してくれたみたいだ。そのおかげで、ユノは落ち着いて二人のやり取りを見ていることができる。
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