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長岡くんから折り返しの電話がないまま、数日が経った。
大学の空きコマに沙穂と構内のカフェでお茶をしている時、そのことを聞かれた。
「長岡くんの方はどうなの?」
「それがきちんと話そうと思って電話はかけたんだけど、留守電になっちゃって。メッセージは残したけど返事がない状態。何度もかけるのもどうかと思ったからそのままかかってくるのを待ってる」
「社学に行ってみる? 付き合うよ?」
「……もう少し待ってみる。来週パソコンを持ってきてくれるって、お店から連絡があったから、それまでに解決したかったんだけどね」
「解決って……なんだか急に吹っ切れてない?」
「今は頭の中がオンラインゲームでいっぱいだからかな? 架空の世界で悪いやつを倒しまくろうと思って」
「……それができるんならいいけど、逆にストレス溜めるかもよ?」
「どうして?」
「由希の運動音痴はよく知ってるから。高校の時のダンスの課題も、由希だけなんだか変な踊りみたいになってたし。あれはダンスって言っていい代物じゃなかった」
「あー……あれねぇ……最後の決めポーズすら何か違ってたよね。写真見せてもらって笑った」
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