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その夜、ECLAIR44さんの最新の動画を見てからお風呂に入って、出てきたところでリビングに置いていたスマホが鳴っているの気がついた。
スマホの画面には「長岡渉」の表示。
「応答する」をタップした瞬間、長岡くんの声が響いた。
「ごめん! スマホをどこかに落としてしまって、見つからなくて電話知らなかった」
「電話をくれたってことは見つかったんだよね。どこにあったの?」
「あ……うん……友達の家。置き忘れてたみたいで」
「友達も気づかなかったの?」
「バイブにしてたから、音も鳴らなくて気が付かなかったらしい」
「そうなんだ。でも見つかって良かったね」
「連絡遅くなったお詫びに何か奢るよ」
「そんなことしなくていいよ。留守電にも入れておいたけど、話があって――」
「明日、いつもの売店のところで待ち合わせしよう。ご飯食べに行こう」
「そうじゃなくて――」
「話なら食べながらでいいんじゃない?」
「金曜はわたしの方が授業終わるの遅い日だから――」
「待ってるよ」
「もう夜は暗くなるし、売店のところは――」
「明日会った時ゆっくり話そう。じゃあ、また」
最後の方は何に慌てていたのか、いきなり電話を切られた感じだった。
でも、バックに流れていた音楽が長岡くんの好きなジャンルのものとは違っていたので、その理由を考えると心が軽くなった。
明日、わたしが何を言おうと、長岡くんは困らない。
それを確信した。
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