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一度帰ってから荷物を取って来るという沙穂と改札で別れて、先に家に戻った。
ゲストルームに掃除機をかけて、ベッドのシーツを変えた。
家にいる時はなるべく窓を開けて、部屋の空気を入れ替えるようにしていたけれど、この数日は窓を開けていなかったので、沙穂が来るまで開けておくことにした。
沙穂が来たのは暗くなってからだった。
「由希の家、久しぶり〜」
「もっと遊びに来てくれたらいいのに」
「嫌よ。遠いもん」
「夜、簡単なものでいい?」
「作らなくていいよ。買ってきたから」
「もしかしてそれで来るのが遅かったの?」
「デパ地下寄ってきた」
「ありがとう!」
「だから、由希ちゃん、わたしのレポート頑張ってね」
沙穂が買ってきてくれた中華を2人で食べて、課題を手伝った。
「白石くんに今日はログインしないって、メッセージ送っとかないと……」
「ねぇ、もしかして毎日やりとりしてるの?」
「時間を合わせてログインしてるから。やらない時は連絡してる。やる時は時間を連絡し合ってる」
「付き合ってるの?」
「付き合ってないよ!」
「でも、付き合ってた長岡くんよりマメに連絡してない?」
「そう言われたら、そうかもしれない」
「彼女いるか聞いた?」
「聞いてない」
「どうして?」
「どうしてって……いきなりそんなこと聞くのおかしくない?」
「別におかしくないと思うけど」
「そうなのかな……」
「天気の話するみたいに軽く聞けばいいじゃん」
返答に困っていると、沙穂は「ふふん」と笑った。
「もう寝る? ゲストルームのベッド、ちゃんとシーツ変えといたから」
「由希と一緒の部屋で寝ていい?」
「それはいいけど」
「高校の時みたいに、同じベッドで寝ようよ」
「いいよ」
「由希の実家に泊まった時、よく一緒に寝たよね」
「そうだね。他の友達はゲストルームを使ってるのに、沙穂だけはわたしの部屋で寝てたね。大学に入ってからはあまり泊まりに来てくれないから、久しぶり」
「大学から遠いから、この家」
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