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「電気消すね」
「どうぞ」
同じベッドに入ると、沙穂がぴったりと体を寄せてきた。
「由希、もしわたしが突然いなくなったらどうする?」
「何でそんなこと聞くの?」
「答えてよ」
「探すよ」
「探して欲しくないって言ったら?」
「そんな……どうしよう……連絡はくれるんだよね?」
「どうかな」
「……本気?」
「冗談だってば。からかっただけ」
「何か、悩んでる? 力になれることある?」
「考えとく」
「意味わかんないよ?」
「由希、もし好きな人ができたら、ちゃんと素直な気持ちを伝えるんだよ」
「どうしたの? 今日、変だよ?」
「アイドルってさぁ、そばにいたくても、そんな願い叶わないから」
「会えるように頼んでみようか?」
「由希のところはさらりとそれができちゃうから、夢見る話ができないじゃん。そこまで由希パパに迷惑かけたくないから、気にしないで。わたしのことより由希の話してよ」
「わたし? 何の話?」
「白石くんってどんな子?」
「どんな……ゲームを始める前までは挨拶くらいしかしたことなかったんだけど、最近はよく話してる。シフトもかぶることが多くなったせいもあるけど」
「シフトって、店長が組むの?」
「自分たちだよ。予定表に自分の入りたいところを入れていく感じ。それで人がいないところは店長から『ここ入れない?』って声がかかる」
「でも、由希ってほとんど固定じゃない?」
「授業の関係でね。大学が遠いこともあるけど」
「じゃあ、白石くんとかぶることが多くなったのは、白石くんが合わせてきてるんだ」
「……そんなこと、考えたことなかった」
「考えてみたら?」
「何を?」
「もう寝る」
「教えてくれないの? ずるい」
「自分で考えて。おやすみ」
「……おやすみ」
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