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「あー疲れたあ」
思わずこぼれた言葉はリアルよりも夢に対してのほうが強い。
どうして今さら昔の夢を見てしまったのだろう。けれど、その夢の続きが見たい気もする。あのまま告白していたら、どうなっていただろう。
このままもう一度眠ってしまおうかと思った。シャワーとかごはんとか年越し番組とか、大晦日ならではの行事も、すっかりどうでもよくなっていた。
時間は静かに新年へ向かって進んでいる。
先ほど見ていた夢の内容はだんだんと薄れてきた。
目を閉じて思い出そうとしても、すでに先生と生徒たちが笑っていたことしか頭に浮かばない。
そういえば、私はあの手紙に何を書いたんだっけ?
起きたばかりで呆けた頭ではそれを思い出すことさえ億劫だった。
枕に顔をうずめる。
だめだ、眠い。私はこのまま新年を迎えるのか。
もうそれでもいいかというあきらめと、いやいやちゃんとしないと来年も同じことになるぞという警告が頭の中をぐるぐると駆けめぐる。
ようやく身体を動かして、とりあえずテレビをつけてみた。変わらずベッドに寝そべったままカウントダウンイベントに耳だけ参加することにした。テレビから聞こえてくる音楽と人々の歓声に、少しだけ年末気分を味わった。
今年もまた、過ぎていく。いつもと変わらない日常が。
だんだん、うとうとしてきて、これはもうだめだとこのまま寝に入ろうというところだった。
突然スマホが短い着信音を鳴らしたので、驚いて目を覚ました。
誰だろう? 友人か、会社関係か?
メッセージを確認して思わず「わっ」と声を出し、飛び起きた。
先生からだった。
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