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ビールを飲みながら、ちらりと横目で彼を見た。
眉間にしわを寄せてメニューを見つめるその表情も、好き。
うわあっ!
あなたの横顔に悶える私をお許しください。
「上山」
と先生が私の名前を呼んだ。
「はい」
と笑顔で返事をする。
私たちのまわりには、まるで少女漫画のような花ときらめきが飛んでいることだろう。少なくとも私の目にはそう見える。
先生がキリッとした目つきで私に熱い目線をくれた。
たまらなく萌えます。
彼はさらに目を細めて深刻な表情でひと言。
「悩む」
「え?」
「味噌と塩、どっちにしようか」
私の視界から花もきらめきも消え去りました。あるのは騒がしい音と濃厚なお出汁の香り、そして威勢のいい店員さんの声かけです。
はい、お待ちどおっ!
とりあえず現実を受け入れながら私もメニューに目を通した。
「味噌ですかねえ。こってりとさっぱり、どっちにします?」
「夜中だが、こってりしたい」
おっと、がっつり行く気満々ですか。私もです。
「同感。すごくお腹減ってるからいくらでも入ります」
「大盛りか?」
「いやー、から揚げも食べたいですからね」
となりのお客さんの席から漂ってくるから揚げの匂いがたまらなく私の食欲を刺激する。
「そうだな。とりあえずラーメンは塩こってりにした」
「いいですね。私は味噌こってりにします。すいませーん!」
店員さんを呼んで注文をする。
まあ、いつもの光景である。
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