飛騨美濃の深山に玃あり 

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飛騨美濃の深山に玃あり 

十一月初旬。 美臼(みうす)岳からの山おろしの風も強くなり。冬隣とはこのことだと感じ始めたところ。 美臼岳に「変な死体」があると言う、通報が入った。通報したのは美臼岳の巡視員からだった。 それは男性の遺体で。その遺体の上にこんもりと。真っ赤な紅葉の葉が乗せられていて、周りには賽の河原みたいに石が積まれていると言う、内容だった。 しかもその横には女性が、意識不明で倒れていると言う。 それを受けて美臼岳の管轄区域である、美臼署はすぐに動いた。 俺もその通報を知ってまずは猟奇事件かと思った。 現場はハイカーや山岳写真愛好家が好むような、景色の良い場所。美臼岳の麓の美臼高原。 そんな高原に遺体を放置だなんて。みつけてくださいと、言わんばかりである。 それに遺体の横にいた女性の存在が気になる。早計だと思うが犯人かと勘ぐってしまう。 いずれにせよ事件性が高いと思われ。初動捜査が立ち上がると同時に、機動鑑識隊や現場科学検査班も直ぐに立ち上がった。 そして俺も女性新米刑事の天野を引き連れて、現場に直行するのだった。
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