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満パンに詰めこまれた過去未来を一刺しして、ドロドロと床に撒いてやりたいけれどさ、広がる血があまりにも輝いてたら、立ち直れないじゃない。
こんな僕にも、良心はあるからね。
◇◇◇
「悪いけど、レジのお金数え直して。二万は多すぎる」
「は、はい」
もう6時を過ぎてるのに、僕はまたレジのお金を数え直す。
小銭をトレーに入れて、専用の機械にのせて金額を書き記し、お札の束をまた専用の機械にのせて金額を書く。
電卓で総合計を出して、メモしてと。
レジ内で計算された残高が、レシートに記載されてるから、その金額とメモの値を照合すると、やはり二万円足りない。
チラリと店長を見やると、椅子に座ってモニターを眺めていた。
どうやら、僕が働いてる時間帯の監視カメラ映像を確認してるみたいだ。
「あ、あの、やっぱり足りないです」
僕がそう言うと、頷きながら手で制された。
6時5分――。
この後予定があるわけでも、早く眠りたいわけでもないけれど、ここよりかは家の方が良い。
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