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けれど待てと言われたし、恐らく僕を疑ってるんだろうから、今帰ると不審に思われそうだ。
あー、帰りたい。
すると店長は神妙な面持ちで、僕の顔を覗き込んだ。
「正直に話してくれ。盗んだか?」
それから尋問が始まった。
僕はまだ新入りだから、他の従業員よりも盗んだ可能性が高いとか。
魔が差しただけならクビで済ませるとか。
カメラから見えないように盗むなんてスゴイな、だとか。
「と、盗ってませんよ」
「はあ、白を切るなよ、てめえよお!」
バンッ――。
「夜勤はお前だけ。お前以外に誰がいるんだよ、なあ、なあ!」
机を叩いて恫喝されたって、知らないものは知らない。
それから僕は黙ったまま、三十分ほど耐え続けて、誰が犯人なのかを考えた。
昨日の夕勤に入ってた人ではないはずだ。その時間は、副店長がいるから。
であれば僕の後に入った人かな。
でも真面目そうな人なんだよなー。
一人は彼女持ちの大学生で、もう一人は子持ちで家庭円満そうな普通のおばさん。
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