0人が本棚に入れています
本棚に追加
みんなこういう気分を味わってるんだ。
「こ、ここ殺さないで」
おばさんの手から二万円を抜き取り、くるくると丸めた。
こうしたら、うまく入ると思うんだ。
「たすけ――」
ザシュッ。
胸を思い切り突いて、素早く抜くと血がピューと吹き出す。
そのせいで事務所が汚れてく……。
汚れてく。
ああ、汚れるんだね。
もっと輝かしい、僕とは違う血の色をしてるかと思ったけど、とっても汚いや。
「ごめんなさい、おっぱい触っちゃって」
これは不可抗力だと思う。
ハサミを刺そうとしたら、おっぱいが指に当たったんだ。
セクハラとか痴漢だとか、変態呼ばわりはされたくないので謝ったけれど、おばさんは仰向けに倒れた。
今度こそおっぱいに触れないように、丸めた二万円を差し込んだ。
傷口にすすっと入って、なかなか気持ちの良い感触だった。
他人に優しくしない奴らとは違って、僕は優しいからね。
とっても二万円が欲しいみたいだから、ちゃんとあげるよ。
最初のコメントを投稿しよう!