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さて、帰ろうと思ったけれど、このままだと捕まるかもしれない。
監視カメラ映像を見てみると、大学生の人は揚げ物をしてるみたいだ。お客さんはいない。
僕は、カメラ映像を保存する、外付けハードディスクを取り外し、カバンに詰め込んだ。
それから、てくてくと事務所を出て、何食わぬ顔で挨拶をする。
「お疲れ様でしたー」
すると返ってきたのは、短い言葉だった。
「うっす」
その言葉を聞いて、ふと思ったんだ。
いなくてもいいんだなーって。
僕に視線を向けることもなく、機械的に言葉を返しただけ。
なーんてね。
そんなことじゃ、僕は怒らないよ。
ただ、消しても良い理由を探してるだけさ。
どうせ君も、優しさを持たない他人なんでしょ?
いいじゃんね、消してもさ。
いいじゃんね、僕は僕のことで必死なんだから。
いいじゃんね、破壊衝動のままに生きても。
誰もダメだって言わなかったんだし。
誰も助けてくれなかったんだし。
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