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「拓海……耳、赤い」
「……恥ず。見んな」
「みんなの手、握ってるの?」
「んなわけあるか!」
拓海は叫びながら、こちらを向いた。私の指先はトンネルの中で優しくつかまれたままだ。
「あの、こんなことされると意識しちゃうんですけど」
「……意識してほしくてやってるし」
「んえ!?」
意識してほしい? ちょっと急展開すぎて心臓バクバクなんですけど!
「それって、私のこと……?」
「……そう、だけど」
「だ、だ、だって! 全然そんな素振りなかったじゃん。拓海、みんなに優しいし」
「そんなことないだろ」
「優しいって! 私以外の女の子も絶対好きになっちゃうって心配してたんだから」
「心配? してたんだ?」
拓海がにやにやと嬉しそうな表情で私を見る。
しまった! これじゃ告白してるようなもんじゃん! 恥ず! 恥っず~!
私はうつむきながら白状した。
「……してました」
「ん、俺もしてたけどね」
そっと拓海を見ると、少し照れたように笑っていた。
「んじゃまあ、これからもよろしく」
「うん」
私は返事とともに、トンネルの中の拓海の指先を軽くキュッと握った。
てか、奇跡が起こっちゃった! 恋のラッキーアイテムすごいじゃん!
「山……最高だよ」
「へ? ここ海だけど?」
「神じゃん、ナザリン彩華」
「……誰それ?」
「拓海、帰りに山、登りにいく?」
「なんでぇ!?」
意味がわからずあたふたしている拓海の反応が面白い。私はそんな拓海をからかいながら思った。
今年は最高の夏になりそう! ね、拓海♡
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