私の恋は占い頼み?

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 電車の窓からキラキラと光る海が見えて、思わず「あ」と声が出た。隣に立っていた拓海も同時に声をあげ、私たちは顔を見合わせて笑った。  駅を降りて、みんなでワイワイと和やかな雰囲気の中、海水浴場へ向かう。私たちの前を猫が横切った。その猫の耳の形はまるで山! 駐車場の入り口に立っている三角コーンの形も山! これは……これからいいことが起こる予感しかしない!  砂浜にパラソルを立て、みんなあらかじめ着てきた水着姿になって準備が整うと、一斉に海に向かって駆け出した。  私たち女子は、ぎりぎり足がつく場所で浮き輪に入りながらおしゃべりを楽しんでいた。拓海たち男子は、少し深い場所でバシャバシャと楽しそうに泳いでいる。泳ぎ疲れると、男子たちは女子の浮き輪につかまって休みにきていて、私はそんな様子を微笑ましく見守りながら、コスメや気になっているカフェの話で盛り上がっていた。  それにしても、私の浮き輪には誰もつかまりにこないなぁ。こっそり拓海を見ると、彼は仰向けになってぷかぷか浮かんでいる。  『拓海~、私の浮き輪、空いてますよ~』なんてテレパシーを送ったところで届くはずもない。ぷうっと不貞腐れていると、突然足が海底につかなくなった。足を伸ばして海底を探していたら、足がつりそうな気配がした。足裏がひきつるような感覚が続く。『このままだと足がつっちゃう!』と思った私は、歩美と香菜に心配をかけたくなくて、「体が冷えたから先にあがるね」と言って、ゆっくりと陸へ向かった。
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