15人が本棚に入れています
本棚に追加
足がつりそうになるなんて、ツイてな~い。
ブツブツとつぶやきながらパラソルの下でマッサージをしていると、少しずつ足裏の感覚が元に戻ってきた。ホッとしていると、ふいに冷たい感触が頬に伝わった。「ひゃ!」と驚いて振り向くと、スポーツドリンクを手にした拓海が、いたずらっぽい笑顔で立っていた。
「どうした? 足でもつった?」
「つりそうだったけど、もう平気。なんでわかったの?」
「んー、陸にあがったとき、歩き方がおかしかったから。ミネラル補給がいいらしいよ。はい」
拓海が、ペットボトルの蓋を軽く開けて渡してくれた。
やっさし~い! もう……しゅき♡
「ありがとう」
ドリンクをひと口飲み、拓海を見ると、大きな口を開けてイカ焼きを食べようとしているところだった。
思わずじっと見つめていると、私の視線に気づいた拓海が「食う?」とイカ焼きを差し出してきた。
食う? 今、食うって言った? 拓海、自分がなに言ってるかわかってるの? 私が食べて、拓海がその後食べるってことは、間接キ、キ……ああ、このイベント心臓に悪いよー!
突然のことに驚きながらも、目の前のイカ焼きのいい香りに引き寄せられて、パクッとかじりついた。
「……おいしい」
「マジで? なんか小腹減っちゃってさ」
拓海は、私がかじったイカ焼きをパクパクとおいしそうに食べている。
ドキドキしてるのは私だけ? はぁ……と切ないため息をついていると、イカ焼きはあっという間に串だけになった。
最初のコメントを投稿しよう!