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「さてと」
拓海が突然、砂を集め始め、目の前に砂山を作った。
「美海、山崩ししようぜ」
砂山の中央にイカ焼きの串を立てた拓海が、にんまりと私を見て楽しげに笑った。
山!? 山じゃん山じゃん! 占いやっばー!
「よし、負けないからね!」
二人で競いながら砂山を両手で崩していくと、どんどん砂山が小さくなっていく。串を倒さないように、両手で山を避けながら砂をかき分けると……。
ちょ、待って? かき分けた砂の跡、ハートじゃん、ハート! や~ん♡ 拓海、気づいてるかな?
ちらりと拓海の顔を見ると、「ズルすんな。でも俺も真似しよーっと」と笑いながら言い、拓海も山を避けて少しだけ砂をかき分け、ハート型の跡を残した。
「あ、美海見て。ハート」
ハート型に気づいた拓海が無邪気に笑う。私も続いて砂をかき、ハートの跡を残した。クスクスと笑いながら、交互に砂をかき分けるとお互いにハートを送り合ってるみたい。
この気持ち、拓海に伝われ~!
想いを込めて夢中で砂をかき分けた。すると、拓海の番で串が倒れて、あっけなく山崩しは終わった。
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