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「楽しかったね、拓海。もう泳ぎにいく?」
拓海を見ると、再び砂山を作っていた。でも今度は、少し水を含ませて固めた砂山だ。
「拓海? また山崩しするの?」
「いや、今度はトンネル」
「トンネル? 仕方ないなぁ」
と言いつつ、内心はにやにやが止まらない。
もー、こういう少年っぽいところも良き♡
私たちはお互い反対側から手で穴を掘り進めた。トンネルの中央部分で拓海の指に触れて、つんつんとつつき合う。
「えへへ、拓海の指みーっけ!」
私は手をトンネルから出し、掘った穴をのぞきこんだ。
「もう少し大きなトンネルにできそうだよね」
再び、二人でゆっくり穴を大きくしていくと、拓海の指が触れて、私の指先をつかんできた。
「あはは! 拓海、それ砂じゃなくて私の指だよ~?」
「……知ってるし」
「え?」
予想もしなかった答えに驚いて顔をあげると、拓海はそっぽを向いていた。
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