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東の空に大きな丸い月が現れた頃、むせ返るほどの甘い香りが山を包む。
『白月花』の白い花弁が、小屋から続くふもとまでの小道を照らし始めた。
私達は必要最小限の荷物で下山しようとしていると、ここまで案内してくれた男衆4人が手伝いに来てくれた。
その姿を見て緊張の糸が切れたのか、ミトが男衆に飛びついて大泣きした。
「よく生き延びたな。よく頑張ったな。やっぱり壱は罪を犯してなんかいねぇんだ。さぁ、帰るぞ」
下山途中に男衆から聞いた。
壱兄は一度も村に姿を現さず、三原さんを殺めた犯人もまだ特定されていないと。
「満月の日まで生き延びたんだ。堂々としていればいい」
山のふもとに荷台が2台用意してあり、その1台に私達3人を乗せてくれた。
その揺れが心地よく、疲れも溜まっていたのか次の日の朝まで眠ってしまった。
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