曇りのち晴れ ー始まりー

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そのセリフに私はポカンとしてしまう。まったく想像もしていなかった。 「彩華を抱いた日、俺は幸せだった。でもあの時はまだ父に意見も言えるほどの力もなかったし、俺の立場はとても複雑で」 そこで一度日向は言葉を止めた。 「彩華、何も言わずにいなくなってごめん。腹違いの兄が亡くなり、いきなり河和の跡取りになれと言われて、もちろん一度は断った。でも、何万という社員を俺は捨てられなかった。実力もなく、周りにも認められていないいきなり現れた人間を認められない。そんな世界に彩華を巻き込むわけにはいかない、そう思ってた」 そこで初めていきなり日向がいなくなった本当の理由を知る。そして、いろいろな葛藤も。 「でも、あの日、彩華を抱いて。絶対に俺は彩華を迎えに行く。そう決めた。だから、実力もつけて、父にも認めてもらって彩華のいる会社の副社長に就任したんだ」 まさか私のために戻ってきてくれたなど信じられない。 「少しずつ彩華と距離を詰めようと思っていたのに、神代の存在に焦って嫉妬して……。本当にごめん」 「神代さんとのことを疑ってたんですか?」
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