桜が咲く日

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「彩華、お父さんたちは大丈夫なのか? こんな遅くに」 くるりと振り返ると、日向はまっすぐに私を見つめた。 「いくつだと思っているのよ。仕事でこれぐらいの日々は普通だし、もうとっくに二人とも眠ってる」 いつまでも小さい子を心配するような日向に、呆れたように答えれば何度か小さく頷いた。 「そうだな。じゃあ、少し付き合えよ」 「え?」 私の返事を聞くことなく、日向はそのままテラスから家へと入っていく。 「ちょっと待って日向!」 その姿を追いかけて、サロンに入ればきちんと手入れされたその場所に驚いてしまう。 「あれ、綺麗」 「毎月きちんと清掃管理がされてるから」 「そうなんだ」 想像と違うその場所に、何も考えず言葉が零れる。 「ねえ、日向は今日はどうして?」 「んー? なんとなく。彩華、もう飲める年なんだろ?」 備え付けられたバーカウンターから、ワインを取り出しグラスを出す。 「まだ、ばーさんが住んでた頃のワインだけど、大丈夫そうだな」 慣れた手つきでワインを開け、グラスに注いでいく。ボルドーの液体が小気味いい音を立てて注がれる。
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