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『彩華、いつもいつも、俺のわがままで縛ってごめん』
卑怯でずるい俺の最低で今できる最大限の言葉『いい子で待ってろ』そう手紙を書くと俺は屋敷を後にした。
※
「彩華、どうしたのよ? 帰ってきてから元気がなくない?」
父と一緒にお風呂に入ると言って、浴室に行った瑠香を見送った私は母の言葉にため息をつく。
「そんなことないよ」
笑顔を作って見せれば、母は私の顔をじっと見つめた。
「彩華が瑠香を見て、すぐに調子が悪いってわかるように、私はわかるのよ」
母の説得力がありすぎる言葉に、私はキュッと唇を噛んだ。確かに母になり瑠香の顔ひとつ見れば、なんとなく調子が悪そうだな、とか眠いかなとかわかる。母にとっては私が同じということだ。
「うん……。会社でちょっとね」
「失敗でもしたの? やっぱり瑠香見ながらだと大変じゃない? 体調も戻ったばかりだし」
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