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エレベーターで最上階へ向かうと、東京の夜景が大きな窓ガラスから広がっていて、その景色に私は息を飲む。こんな別世界のような場所があるのか。そう思っていると、加奈先輩が先に歩いていくのに気づき、私も後を追う。高級ホテルのバーのような雰囲気で、普段は会員制のイタリアンレストランということもあり、シックなテーブルセットとソファがいくつも並んでいた。
「今日はビュッフェ形式になっております。お好きなお料理をどうぞ」
にこりと完璧な笑みのスタッフに案内され、テーブルのひとつに案内された。日向はまだ来ていないようで、プロジェクトに参加していたいつものメンバーで食事会は始まった。どの料理もおいしくて、生ハムやチーズや、ワンスプーンの美しいサーモンの前菜など、目を引く料理を皿に乗せていく。
「美味しそうだね」
加奈先輩も目を輝かせている。私も久しぶりのこの雰囲気に調子に乗って料理を取りすぎたそう思っていた時だった、秘書の男性を伴って日向が入ってくるのが分かった。
「副社長、お先にいただいています」
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