世界で一番お姫様

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世界で一番お姫様

 中学生の頃の私は、自分の事を世界で一番お姫様だと思っていた。  一般家庭に生まれた一般人の私がおかしな事をという話だが、その時の私は誰もが認める王子様といった存在のとあるαに溺愛されるΩとして、周囲からも認められていた。  彼は私の事を「君は俺の運命の番だ」といって憚らず、未来の花嫁として扱った。  昔はΩは差別を受けていたが、世はダイバーシティ、多様性の時代である。今ではむしろαに溺愛され、αと結ばれる事で次世代に向けて優秀なαの子供を残す、国の発展のために大事な存在として認められ、羨望の眼差しで見られるようになったのだ。  私も「王子様」と呼ばれていた彼から一身に愛される特別な存在だと、驕っていた所があった。  しかし、私はβだったのだ。  大事な事なので二回言う。私はβだった。検査を受けて分かった事だが。  それが分かった瞬間真っ先に思った事は、彼もβだったら私たちは離れなくて済むのにといった事だった。多分、私は本当に彼の事が好きだったんだと思う。  まぁ当然の如く、優秀なおかつ顔も良く、有名企業の御曹司という明らかにスペック盛り盛りな彼はαだったのだけど。  そして、それが分かった瞬間、周囲は皆、手のひら返しをした。
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